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執筆者の写真クロイニャン

VRCReady21(7月号)掲載「テアトロ・ガットネーロ」インタビュー



※この記事はVRCReady 21(2021年7月号)に掲載されたものと同じ内容です、VRCReady 編集様の許可を得て掲載しております。


テアトロ・ガットネーロとは、VRChatにて行われる劇場。演目はアバターパフォーマンスと試着会の2部に分かれている。第1部では様々な販売アバターを着用した、アクターの表現でアバターの個性を演出。その後アバターの試着会を開催し、販売の促進を図ると言うもの。

今回はそのテアトロ・ガットネーロの支配人であるうぃりあむ氏に突撃取材。今後のVR市場への溢れ出る情熱、強い期待について語ってくれた。


司会のメビウス(黒猫洋品店ワンオフモデル)


テアトロ・ガットネーロの魅力とは

VRChatに素晴らしいアバターを作る方は多数いますが、その人達が宣伝まで上手いとは限りません。

テアトロ・ガットネーロは、そんな方たちにパフォーマンスと試着会を一体にしたイベントという形で、宣伝を代行します。


関係者たち(他にもたくさんの方にご協力いただいております)



テアトロ・ガットネーロの宣伝としての強み

テアトロ・ガットネーロに出展することが宣伝として有効な理由は2つあります。


1つめは、カソウ舞踏団が「アバターに込めた魅力や意図を読み取り、それを表現する」ことに特化したアクター集団であることです。



いくらそのアバターですごいパフォーマンスをしても、そのアバターのイメージとかけ離れたことをやっては宣伝としては成立しません。ですが、カソウ舞踏団はアバターを観察することで、アバターの特徴どころか公開していない設定、果ては制作者自身の経験まで見抜くことすらあるほど、アバターを認識する能力に長けています。


そして、その読み取ったものを自分に重ねることで、アバターを演じるのです。

彼らはそれを「アバターに息吹を吹き込む」と表現しています。その言葉の通り、彼らが演じるアバターはまるで中に人がおらず、アバターそのものがその場で息づいたかのような印象を与えます。



この状態で行なうパフォーマンスにより、どんな言葉よりもそのアバター自体の魅力が観客に伝わるのです。


2つめは、テアトロ・ガットネーロがこうして様々な方に取り上げていただけるほど、有名なイベントになったことです。


おかげさまで、テアトロ・ガットネーロは毎回1分以内にインスタンスが埋まるほどの大盛況です。その「テアトロ・ガットネーロに出展した」という事実が、アバターの知名度を上げる一助になると思っています。


まだまだ改善する点は多々ありますが、どんどん盛り上げてアバター宣伝としての価値を上げていきたいです!


kuji様作「Mir」と「Cygnet


生郎様作「Siva」と「


始まりはとある一言からでした

イベントの発端は、よいかみさんが「アバターそのものを演じる」という行為を、もっと普及させられないかという相談がきたときのことでした。

よいかみさんは常々アバターの魅力を引き出した演技をしたいな、と考えておりました。「自分にあったアバターを使う」ではなく、「自分をアバターに合わせる」能力は、VRでのパフォーマンスの質を高めるのに非常に重要だ、と。また、そういったパフォーマンスがアバター制作者さんが喜ぶことで、素晴らしいアバターを作ってる制作者さんにそういう形で還元したい、とも話していました。


よいかみさんは単独でもそれを遂行するため、自分のパフォーマンスをアバター宣伝動画にしたり、パブリックでサンプルアバターを使ってパフォーマンスをしていたりしました。しかし、それでは限界があるし、注目度も低く、後続も育たないことを感じていました。


山猫さんはその話を聞いて、その理念に賛同し、またそれは間違いなくアバター制作者として嬉しいことだと考え、それを劇場のイベントにしてはどうかと発案してくれました。


それに対しうぃりあむがそろばんを弾いて、収支が合う!と判断したためゴーサインを出しました。イベントを行う限り、黒猫洋品店の宣伝をしつづけられるのも強みです。



テアトロ・ガットネーロは、主に3者の目的が合致して成り立っています

①アバター制作者が「感情を食べる」場所

②よいかみさんが「アバターに呼吸を吹き込む」行為を普及させる場所

③「VRChat内で回る経済」を作る場所


①アバター制作者が「感情を食べる」場所

アバター制作者の方々は、アバターを自分の作品として販売しています。

であれば、作品を良いという感想が欲しいもの。相手の感情を大きく動かして、その人の人生に影響させられればそれほど嬉しいことはないでしょう。そういった感情を動かされた様子を見ることを、「感情を食べる」と山猫さんは表現していました。


VRChatにおいては、アバターを買ってもそれを使っているところを見れる場所、さらにはそれを良いと言っているところを見るのは難しいです。これは、VRChatユーザーが巨大で、分散したコミュニティを持っていることからどうしようもないことです。

そこでテアトロ・ガットネーロという「アバターを見て、感想を言ってもらう場所」を明示的に作ることによって、「感情を食べる」場所を作りました。


実際に、依頼の打診が来ているアバター制作者さんには、「このステージで踊ってる姿を見てほしい」という人が何人かいます。それどころか、アバター制作者ではない人から「このアバターをもっと見て欲しい」という依頼が来るほどです。


②よいかみさんが「アバターに呼吸を吹き込む」行為を普及させる場所

前述の「自分をアバターに合わせる」能力は、演技に近いですが、明確に違う能力です。

通常の演劇では、自分の中身こそ変わっても、体型や顔が全く別物になったりはしません。ですが、VRではそれが簡単にできてしまいます。ゲームや3D映画のモーションアクターには要求される能力ですが、なかなか表に出てくるものではありません。


ですが、よいかみさんはVRの普及により、それがより身近に使える能力になると考えました。

よいかみさん自身は演劇経験もあり、個人的な研究によりそれを高いレベルで身につけています。

それを劇場という場で大々的に見せることで、より普及させようという考えです。


また同時に、弟子であるたらこさんとえーすけさんを実践経験させ、活躍させられる場所としても活用しています。


③「VRChat内で回る経済」を作る場所

現在VRChatにあるイベントは、大半が無償のボランティア、あるいは非常に安価な報酬で回っています。

これ自体は悪いことではありません。有志だからこそできるイベントというのもいくらでもあります。


ですが、うぃりあむの観点から見ると、VRChatは「無償で使われるのは惜しい」と言えるほど、すごい人材が集まっている場所です。

現在はアバターや衣装制作者はBOOTHなどで収益を上げられる人はいますが、それ以外のパフォーマーやワールドクリエイターはあまりお金をもらってVRChatで仕事をする、ということはしていません。あったとしても、VRChat外部からの依頼がたいていです。

そこで、「VRChat内でお金が回るイベントが作れないか?」と考えて作った仕組みがテアトロ・ガットネーロです。


アバター宣伝者が宣伝費を支払う、アクターやカメラマン、出演者が報酬を受け取る。黒猫洋品店を中心に、「収入」と「支出」の両方が成立しています。いまはまだ小さいですが、この方式を他の人が真似したり、イベント自体が大きくなったりして、VRChat内に経済ができてくれれば嬉しいです!



団長よいかみ「『一生記憶に残る舞台をやろう』と、カソウ舞踏団内で毎日叫びました」

第一幕は異種族をVRで演じる、魅せる「多様性の表現」

第二幕は日常的かつ異世界を体感してもらう「舞台を飛び越える没入感」がテーマです。

ただしほぼ後付で、始める時はどちらのテーマも「不可能を可能にする挑戦」でした。


第一幕、よいかみ自身が主演となって、ゲレルトを演じました。

桜クロイニャン役のたらこ、メビウス役のえーすけに、初のステージを体験させる。

そんな気持ちでありつつも「多様性の表現」がしっかり舞台上に出来上がっている。そんな目標で作られています。無言劇であることもその特徴です。


第二幕では更に表現するアバターが増えました、合計で5名。

予定を大幅に超える人数と、対象的なアバターはステージ上でも、そして我々の経験としても魅力的。

それらを踏まえて「挑戦」を舞台の上でやりたいと思い「舞台を飛び越える没入感」という、舞台を行う人間にとってぶつかり続ける存在をテーマにしました。

「一生記憶に残る舞台をやろう」と、カソウ舞踏団内で毎日叫びました。


VRだからこそ、この「非日常的」な存在を「日常的」に感じられるテアトロ・ガットネーロなのではないか、と考えています。


作曲家Atree「この曲、一生懸命に何かに取り組む者のための曲ですからね」

第一幕「ゲレルト」のダンス曲

狼、叫び、血、本気、そしてアリプロ、そんなコンセプトです。

開幕に狼の叫び声が響き渡り、静かに獲物を探しては、滾る野性のままに踊り狂うための曲です。

元々、カツサダ さんという方経由で、アリプロみたいな曲作れる人いるぞという触れ込みで 2021/04/05 に yoikami さんと うぃりあむ さんにお会いいたしまして、建設途中の舞台の上でお話をお伺いし、その熱意に感化されて承諾しました。その際、「どんな曲でも踊れるので好き放題やって」とおっしゃっていただけたので、『さあこれで踊ってみろ』とばかりに自分の思う狼っぽさとアリプロっぽさを注ぎ込みました。本番、見事に踊りきる姿に改めて脱帽……。

楽曲についての小ネタですが、クラシック引用部は、狼ということでプロコフィエフの「ピーターと狼」をやりたかったところ、著作権上の懸念からシューマンの「子供の情景」より「むきになって」に変更しました。ここでの「むきに」とは、原義では「真剣に」という意味です。この曲、一生懸命に何かに取り組む者のための曲ですからね。



ワールドだってすごいんです

「アバターを見せる場所」という条件から、「小さめで高さも低い、円形のステージ」というのはすぐに決まりました。

それに劇場という特別感を出すために、豪華な装飾が多数入った場所にしたいと思いました。


そのイメージを元に、かんにゃさん(@nzKanNya)にコンセプトアートを依頼しました。

その後モデリングを黒猫洋品店にて行ったあと、Pandora作者のMinaFrancescaさんにライティングとギミックの依頼をしました。


結果として、豪華で上品な雰囲気の、入っただけで圧倒される美しいワールドが出来上がりました!


出演アバターチョイスの理由

第一回は、試験ということもあり身内に近い人たちで固めました。

黒猫洋品店の桜クロイニャンと、発案者の山猫さんのゲレルト。「ネツァク」を制作したセフィさんも、

カソウ舞踏団やクロイニャン、うぃりあむと気心の知れた相手で、テアトロ・ガットネーロの理念にも賛同してくれたため

出演してもらいました。


対して第二回は、すべて依頼によるものです。

正式な依頼をした先着順で決めたので、こちらの選択は一切入っておりません。

これにより、目的の一つである「経済を回す」ことをひとまず達成できたのかな、と思っております。


テアトロ・ガットネーロの今後

まず、テアトロ・ガットネーロ自体は非常に成功しているイベントであり、今後も定期的に開催したいと思っております。


ですが、第二幕はちょっと変則的な回でした。とくに、MirちゃんとCygnetちゃんは依頼者と制作者が異なること、制作者さんが意図的にキャラクター的な個性を少なくしていることから、演目が非常に難しかったのです。それでもよいかみさんがたくさん考えて、結果的に依頼者のロックサーチさん、制作者のkujiさんの両方、また観客のみなさんから大絶賛を受ける演目ができました。


第三幕は、それと比べると本来の目的である「アバターの宣伝」としてわかりやすい回になるのかな、と予想しています。


ただ、第四幕以降には第二幕のような、劇の要素が強い回をやってもいいな、と思います。


どちらにせよ、アバターを宣伝したい方を募集しております。

アバター制作者さんでもそうでない方でも、出演アバターの依頼お待ちしております!

(制作者ご本人でない場合、制作者さんの許可が必要です。)

出演のご相談、ご連絡は黒猫洋品店TwitterのDMまで!


販売中のアバター「ヴァニーユ」※セールは終了しております



PR.着せ替え用素体「ヴァニーユ」の魅力

①「どの角度から見ても美しい」、立体感にあふれた顔とその動き

VRで見るとき、アバターの顔は重要です。

極めて近い距離で見ますし、両目で見るため立体感が強く強調されます。


ドール制作の経験者でもあるクロイニャンは、立体で見たときの美しさに対する感性が非常に高いです。

また、ストップモーションアニメが大好きで、人間らしい表情の動きにも強いこだわりがあります。


「ヴァニーユ」の顔は、そんなクロイニャンの能力の集大成です。

ぜひサンプルアバターを見ていただきたいのですが、VRで、かつ近距離でみたときの美しさにはとても自信を持っております!



②人体としての正しさと美しさを両立した身体

共通素体にするからには、今できる全力をつくそう、という考えのもとできた素体です。


今回、身体の人体の構造や造形に深い理解のある山猫さんの監修が加わってくれました。

それにより、極めて人体として正しく、かつ細くて子供らしい美しさを併せ持った素体ができました。


「ヴァニーユ」の顔と合わせて使うのはもちろん、ほかの子の頭を載せ替えて使うのもオッケーです。


③対応衣装、髪型を多数販売(予定)

いままで、毎期のようにクロイニャンが自分用の服を制作していますが、それは収益につながっていない要素でした。

今回、共通素体を作ったことで、服を作って販売することがやりやすくなります。

今後多数の服を販売する予定ですので、お楽しみに!

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